ロハでHDRパノラマ (11): パノラマ作成時のHDR合成
以前はパノラマ作成時も、そうでないときも、HDRの合成はスクリプト一発で済ませていた。スクリプトの吐き出すGIMPファイルからTIFFに出力して、Huginで合成していた。これでは、あまりよろしく無いことが分かってきた。
GIMP (Ver. 2.6)は8 bit整数の階調しか取り扱えないのだ。GIMPの出力するTIFでもJPGでも8 bitだ。普通なら、8 bitでも問題ないのだが、パノラマ合成するときはちょっとマズい。繋ぎ合わせる時に露光調整してるんだが、若干不自然な仕上がりになる事がある。特に日中に360°ぐるっと撮影したときなど。極端に明るさが違うと、露光を調整する時に階調の粗が見える。
じゃ、どうしたら良いか。問題は、
- スクリプトの画像の吐き出し部分を16 bit階調とする
- 16 bit階調画像の調整、レタッチ
のふたつだ。
GIMPは、Ver. 3で16 bit階調をサポートする予定としている。GEGL (Generic Graphics Library)という画像エンジンを統合するという事らしい。現状のVer. 2.6でも一部GEGLを使用することができるが、ワシの環境では上に書いた処理はできなかった。他に、FOSSで16 bit階調を扱えるものを挙げるなら、
がある。ubuntuの公式リポジトリにはcinepaintは無い様子。時間がある時にビルドしてみるが、取りあえずパス。最近は安定してきたというkritaで階調などの調整をおこなう事にした。kritaで編集できる16 bit階調TIFFファイルを吐き出すように、スクリプトを改造する。
出力ファイル名を定義しているところを、
# HDRFILE="$HDRFILEPREFIX$NUMBER.xcf" HDRFILE="$HDRFILEPREFIX$NUMBER.TIFF"
スクリプトのGIMPファイルへの出力を行っている部分をコメントアウトし、次の様にする。
composite $DIR/hdr_mantiuk06.tif $DIR/enfuse.tif -compose pegtop_light -depth 16 $DIR/tmp.tif composite $DIR/hdr_fattal02.tif $DIR/tmp.tif -compose pegtop_light -depth 16 $DIR/$HDRFILE
これでお終い。-compose の後のオペレータの種類、元々はoverlayとsoftlightだったが、GIMPではoverlayとsoftlightが同一の実装になっているらしいし、pegtop_lightと仕上がりあまり変わらないし、pegtop_lightの方が速いので、こっちを使うことにした。仕上がったTIFFファイルは階調が16 bit整数の画像となる。これをHuginで合成してパノラマにしてTIFFへ出力、最終的にkritaで調整してJPGに出力したのが、昨日の写真だ。繋ぎ目に不自然さはなく、HSV調整の"ノリ"も良い。
こうも違うと、以前にパノラマ合成した写真もやり直したくなってきた。TIFF出力まではスクリプトでポン、なので、以前と同じファイル名でTIFFファイルを置き換えるか、Huginの保存ファイル (.pto)をチョロッと編集してファイル名を置換してやれば良い。簡単だ、また今度。
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