ロハでHDRパノラマ (10): Huginの問題点

ロハでHDRパノラマ、なんだが、ワシの場合は次のように作業している。

要するに、HDR合成した写真をHuginで繋ぎ合わせている。HuginでもHDR合成できるんだが、イマイチ。スティッチングタブの出力オプションのHDR mergingの下にこうある。

  1. Merged and blended panorama
  2. Remapped merged stacks
  3. マッピングされた画像


中途半端に日本語化されてるところがナニだが、勝手に訳すと上から順に、

  1. 写真を繋ぎ合わせて、階調は線形8ビット、出力は一枚のパノラマ
  2. 写真は繋ぎ合わせず、階調は多ビット・HDR、出力は複数枚 (アングル毎)・配置情報あり
  3. 写真は繋ぎ合わせず、階調は線形、出力は複数枚 (アングル毎かつ露出毎)・配置情報あり


となる。どれも使いものにならない。さらに勝手に実験・解釈すると、

  1. 線形8ビットに階調を詰め込まれているので、HDRと言えばHDRだが、どういうトーンマッピング ("HDRへの統合: 内蔵"とあるのみ)をしたのか解らない。出力される.exrファイルはQtpfsguiで読み込めるが、階調は2EV分なのでトーンマッピング処理できる状態でもない。
  2. 出力される.exrファイルがQtpfsguiで読み込めない。コマンドライン (pfsinexr)でも同様。exrdisplayならプレビューできる。
  3. 上に同じく、出力される.exrファイルがQtpfsguiで読み込めない。コマンドライン (pfsinexr)でも同様。exrdisplayならプレビューできる。.gpmファイルが出力されるが用途が解らん。


Huginでは、fattal02やmantiuk06といったトーンマッピングオペレータを統合しないので、.exrで出力されたHDRを再処理したい。しかし、上で唯一読み込めるファイルの階調が既に正体不明のトーンマッピング済み!なので、どもならん。ということ。で、順番は、

  • 撮影アングル毎にHDR合成・トーンマッピングを済ませてTIFFファイルとして出力しておき、
  • HuginでTIFFファイルを繋ぎ合わせる。


となる。これはメモリにも優しい。トーンマッピングは階調データに関して偏微分方程式を解いてるのだが、これがメモリを喰う。ワシのPCだと大きな画像だと無理。一枚づつトーンマッピングして、保存して、繋ぎ合わせて、というのは、Huginの出力ファイルの制限でもあり、PCの制限でもある、つことになる。

トーン (階調)マッピング (配置)、と呼ぶ様に、階調を配置していくんだが、大きくふたつに別けられる。

  • 画面全体を整えるもの。トーンカーブの調整もこれ。
  • ディテール部の階調を整えるもの。周囲の階調によっては、必ずしも同じ階調にマッピングされない。


HDRのコンテクストでトーンマッピングといえば、二番目の方。白トビ・黒ツブレを改善するのも二番目。デジカメのHDRモードも二番目。写真の階調情報に着目すると、次の様になる。

  • HDR合成で、JPG (8 bit)から、多ビットへ。トーンマッピングで再びTIFF (8 bit)へ。
  • Huginでは、露出補正以外の階調操作は行わずにパノラマを作成、出力する。


贅沢を言えば、トーンマッピングの出力も16 bitで行い、パノラマ作成時、作成後のレタッチなどに自由度を持たせたいな、と。

HuginでそのままHDR (EXR形式)出力して、トーンマッピング出来ました。→ ロハでHDRパノラマ (19): HuginでHDR出力

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