プラネタリウム、欲しいなあ、行ってみようかなあ

ワシ、出身は北九州市八幡。新日鉄八幡製鉄所のお膝元、北九州工業地帯ということで豊富な法人税を後ろ盾に、他の田舎町では考えられないほど道路、公共施設が充実していた。一応、政令指定都市だからね。

近所に児童科学館があって、毎週のようにプラネタリウムに通った。当時、もう30年前だが、国内有数の設備だったはずだ。Zeiss製のプラネタリウムがあって、仲良くなった学芸員さんに値段を聞いてひっくり返った覚えがある。ドームを含めたシステム全体なのか、投影部なのか、よく分からないが、1億とか2億とか言っていたような。ま、今考えれば、投影部だけでそのくらいはしそうだな。この瞬間、田舎の少年の心にZeissの五文字はくっきりと刻まれたね。


そんな高嶺の花だったプラネタリウム。最近は、家庭用ならメガスターで決定。セガトイズで製造・販売している。んで、DIYするならデジタルでなんとかなるらしい。要はStellariumのようなソフトの出力を反転するなり湾曲させるなりして、プロジェクター、球面鏡などでドームに投影する訳だ。家庭で雰囲気を楽しむならプロジェクターで投影するだけでもそれなりに楽しめるだろう。

神戸大学の天文研究会が実験しているようだ。写真が無いのでよく分からないが、文面からみる限り結果は思わしくない様子。


海外にはこれを商売にしてるところもある様子。数出ないだろうに。儲かってんのかなあ。


球面鏡、魚眼レンズ、いずれにしても水平線近くの像の流れや収差はキビシイだろうな。星像のキレにも限界があるだろうし。大人しく、レンズ式の既製品を購入した方が精神衛生上よろしそうだ。

どうしてもDIYするなら、魚眼レンズを慎重に選定して、マウントの金物いくつか作らせて、高ダイナミックレンジ・高出力・静音のプロジェクターを垂直に置けるようにするか、反射鏡使うかして、あとは迷光対策・冷却対策つうのが質の良い家庭用・小型デジタルプラネタリウムへの近道のような気がする。がんばれ、神大天研。ニコンインステックとかの光学商社に相談してみるのもひとつの手だぞ。相談だけなら金も獲らねえだろ。

少年時代に観たプラネタリウム学芸員の解説がハシって時間が余ったときなど、真っ暗にして最大輝度、座標線・星座線・星座絵なし、無音でゆっくりと全天を流す、というのをやってくれた。学校帰りの夕方最終なんて、ほとんど貸切状態だったし。今でもよく覚えている。耳をすますとかすかに聞こえるサーボ音、ドーム中央でゆっくりと影の形を変えるプラネタリウム本体。一旦漆黒の暗闇になる。いくら目を凝らしても何も見えないところに、つまり網膜が最大感度になったところに、数え切れない満天の星がドーン、超シャープな星像。5分くらいのモンだったと思うが、体感的には1時間くらいか。リクライニングシートの中で恍惚を味わった。ありゃあ、一種のドラッグだな。この合法トリップを目当てに通っていたと言っても良い。照明が点いて立ち上がると、足元がふらつくほどだった。

投影機だけがトリップするほどの体験を生んでいる訳ではない。投影するスクリーンの質、投影部の迷光対策、遮光、遮音、パブリックアドレス、座席の配置、床材、空調などなど、ノウハウが山ほどあるんだろう。

プラネタリウム、欲しいけど。DIYにしても買うにしても、ガッカリするかもだな。久しぶりに行ってみようかなあ。

追記: Zeiss製だと思っていたG1920si、五藤製らしい。どこで記憶をすり替えられたのやら…