貧者の赤道儀 (The Poor Man's Equatorial) - (2) 視点の算出

何処の写真を撮ったのか、赤緯を知る必要がある。それもかなりの精度で。撮影時の計画で大体の位置は分かっていると思うが、それ以上は写真から算出する。算出すると言っても、決定的な方法はないので、泥臭い方法でやる。

左は撮影した写真だが、上の方に明るくシリウスが、下の方にカノープスが写っている。写真が傾いている(ロールしている)場合は事前に修正しておこう。

こいつらの赤緯プラネタリウムソフトで調べると次のようになっている。*1

  • Sirius: -16°42'27"
  • Canopus: -52°25'15"


で、写真上の赤緯が上下に等方的だと仮定して、写真の中心の赤緯を計算する。実際には、この写真の場合だと、写真の上の方がピクセルあたりの赤緯が小さい。つまり、写真の端に行くほど拡大されている。

一旦計算した赤緯を使って、今度は写真を変形させてから、再び上と同じ方法で赤緯を計算する。変形にはHuginとか、Nonaとかを使用する。元の写真を指定して読み込み、写真のPitchにさっきの赤緯を入力して、投影法はEquirectangularとして、画像を描き出す。

描き出した画像で赤緯を計算したら、また元の画像(変形させる前)を読み込み、赤緯を指定して繰り返す。3度もやれば値は収束するはずだ。日周運動する星の軌跡を撮影した写真を、算出した赤緯でEquirectangularで投影させると、軌跡が一直線になるはずだ。

こうなってしまえば後は難しくない。Equirentangular図法は赤経赤緯がそれぞれXY方向に直行して投影されるので、X方向の移動がそのまま時間の経過になるのだ。

*1:大気の回折の影響を受けた数字と、そうでない数字があると思うが、影響を受けた数字のほうが良いだろう。別に気温と気圧を設定できる場合は実状にだいたい合わせれば良いだろう。