ロハでHDRパノラマ (15): 上手にできた例・ミッドタウンガーデン
先ずは完成品、ミッドタウンガーデンのオブジェ。
例によって、
- Canon Powershot S95で手持ち撮影、オートブラケットで3枚
- HDR合成とトーンマッピングはスクリプト、出力は16 bit整数階調
- Huginでパノラマ合成、出力は16 bit整数階調
- Cinepaintで最終調整、JPGへの書き出し
という流れ。左右2枚だけなので上手にできて当たり前といえば当たり前だが、最適化は3段階でやると良い、という例。
コントロールポイントは4つだけ。手動で追加する。
一度目の最適化。先ずは、ヨー (y)とピッチ (p)とロール (r)だけを最適化する。あ、ダイアログの日本語訳間違ってますね。
その結果。最大で15 ピクセルもズレている。
プレビュー診てみるとズレが分かります。オブジェ左上の鞍部がズレてます。悲惨です。
ここからが大事。二度目の最適化では、一度目の (y, p, r)に加えて、水平画角 (v)と歪み (c)を最適化する。歪みの (a)と(b)は放っておく。その結果がこれ。ズレは最大で1.8 ピクセル。
三度目の最適化は少しややこしい。メニューから、編集 → 全ポイントの微調整を実行した後、最適化タブの[最適化]ボタンで最適化する。
3回に分けて最適化を行った。ズレの収束をまとめると下のようになる。
- ズレの平均は、9.774 → 1.063 → 0.792
- ズレの標準偏差は、5.52 → 0.586 → 0.463
- ズレの最大値は、14.992 → 1.807 → 1.442
となった。この順番が効率良いように思う。コントロールポイントの選び方にもコツがある。今回気をつけたのは、同じくらいの深度に3点以上、ただし直線上に並ばないように、という事。直線に並ばせない事で効率よく解を収束させることが出来るハズ。
コントロールポイントが多い場合 (数十とか数百)は、三回目の最適化を繰り返すと良い。ある程度まで絞り込むことが出来る。このとき、「メニューから、編集 → 全ポイントの微調整」と「最適化タブの最適化ボタンで最適化」の間で、素性の良くないコントロールポイントを捨てるのが非常に有効。
F3キーを押すと、コントロールポイントの一覧を見ることが出来る。
そこに、「距離」という項目が表示される。これが、トラップ。その時の状況によって二種類の値を、同じ「距離」という名目で表示する。ビックリだよ。普通の最適化の後は、コントロールポイントのズレを距離として表示し、全ポイントの最適化の後はコントロールポイントの相関係数を距離として表示している様だ。
コントロールポイントの一覧の一番下に、[距離で選択]というボタンがある。これをコントロールポイントの精査に使用する。
- 何度かの最適化の後、ズレが数十ピクセルというコントロールポイントは不良なので放逐する。[距離で選択]というボタンを押し、ダイアログに例えば、「30」と入力する。ズレが30 ピクセル以上のコントロールポイントが選択されるので、消しちゃえ。
- 「全ポイントの最適化」の後は、相関係数で足切りをする。[距離で選択]というボタンを押し、ダイアログに例えば、「-0.95」と入力する。相関係数が0.95以下のコントロールポイントが選択されるので、やっぱり消しちゃえ。
相関係数に単位は無い。数学苦手な人には、相関係数掛ける100で100点満点制・90点以上で合格・95点で優等生、とか説明することにしている。
最後は露出の最適化を行う。この時、ホワイトバランスやレスポンスカーブはイジらない。
これで完成。スティッチングタブで投影法などを選択してポンだ。
関連する記事
- ロハでHDRパノラマ (1)
- ロハでHDRパノラマ (2): ジオタグの埋め込み
- ロハでHDRパノラマ (3): HDR合成とトーンマッピング
- ロハでHDRパノラマ (4): パノラマ作成・概要
- ロハでHDRパノラマ (5): パノラマ撮影のコツ
- ロハでHDRパノラマ (6): Hugin、コントロールポイント
- ロハでHDRパノラマ (7): 散歩マップでニヤニヤ
- ロハでHDRパノラマ (8): HDRの味付け
- ロハでHDRパノラマ (9): レンズキャリブレーション
- ロハでHDRパノラマ (10): Huginの問題点
- ロハでHDRパノラマ (11): パノラマ作成時のHDR合成
- ロハでHDRパノラマ (12): 浮動小数点階調画像の取扱い、失敗
- ロハでHDRパノラマ (13): 浮動小数点階調画像の取扱い、かろうじて成功
- ロハでHDRパノラマ (14): Fake HDRって?
- ロハでHDRパノラマ (15): 上手にできた例・ミッドタウンガーデン
- ロハでHDRパノラマ (16): トーンマッピングパラメータ
- ロハでHDRパノラマ (17): 動体除去
- ロハでHDRパノラマ (18): レンズキャリブレーション、スクリプトで
- ロハでHDRパノラマ (19): HuginでHDR出力
- ロハでHDRパノラマ (20): RAW一発からのHDR・階調データの確認
- ロハでHDRパノラマ (21): RAW一発からのHDR・HDR合成まで
- ロハでHDRパノラマ (22): RAW一発からのHDR・トーンマッピング - ぽこにっき
- High Dynamic Range、明度差を広く取った映像のこと。本来的な意味ではコンピュータ画面上で表示可能な8bitの色深度を越えた画像ということになるが、実際には8bitの中で明度を調整した画像を指すことが多い。 通常、映像は明るいところと暗いところを同時に.. 続きを読む
- このキーワードを含むブログを見る
- 標準以上のダイナミックレンジを圧縮・再配置するなどして標準のダイナミックレンジの画像を得る手法・手段。画像全体の階調を整えるもの、部分的に階調を調整するものに分類できる。wikipediaのハイダイナミックレンジ合成を参照。 続きを読む
- このキーワードを含むブログを見る