ロハでHDRパノラマ (5): パノラマ撮影のコツ

パノラマの作成まで進んでいるが、手戻りして、写真撮影の際の話。

一口にパノラマといっても、横一列繋ぎ合わせや、多段、全天360度など形態は様々で、難易度は異なる。勿論、簡単なのは横一列。その横一列の場合でも撮影の際に気をつけておいた方が良いことがある。

視差、というのを聞いたことがあるかもしれない。顔の正面に指を立てて、片目ずつ交互に見ると、指が動いているように見える。じゃりんこヒラメちゃんならたくさん指が動いて見えるし、バカボンパパだったらそんなに動いて見えない。これは、背景と指の位置関係が変わるからで、視差その物。カメラでの複数枚の撮影にも視差は生じる、もしくは生じうる。

指の場合は、眼ン玉の位置が変わったからだが、カメラの場合はどうだろう。カメラの場合はレンズ主点が動くことによって生じる。レンズ主点てナニ?てなモンだが。被写体に前景と背景があるような構図だと、主点移動による視差が問題となる。

パノラマ用雲台を購入してキッチリレンズ主点と雲台の回転中心を合わせ込む、というのがスジだが、カネもかかるし装備は増えて動きにくくなる。チョイとパノラマ合成を試すには敷居が高い。それに、そもそも本格的な雲台はレンズ鏡筒をホールドするものもあり、コンデジでパノラマ君には使えなかったりする。なので、前景・背景が混在する構図を避けるとか、なるべく主点を動かさずに撮影することにする。

主点はどこにあるのか。センサーから焦点距離だけ被写体側、レンズ中心軸上にある。といっても、カメラのどこにセンサーが入ってるのか分からない。レンズ中心軸は分かりやすい、で、センサーはボディ中央ぐらいだろ、として、そこから焦点距離分前に出したところを主点だと想像する。想像して信じ込んで撮影する。パンするときに体全体を回すとか、肩と肘で持ち上げる、のではなく、両手の中でカメラの主点あたりを中心にして、クイッと回してやるとよい。いい加減なようだがこれで結構上手くいく。遠景横一列ならほとんど問題ない。

例えば、4、5メートルの道路をはさんで10階建てくらいの建物を、上から下まで撮りたい、なんて場合。ざっくり計算すると、atan (20 / 4) = 78.7度、となり、35 mm換算で焦点距離28 mmだとはみ出してしまう。それに、建物と空の境界がカメラ視野の端の方だと、収差が目立つし。こういうときに、上下二枚、もしくは三枚に分けて撮影してる。街中で、クイックイッとやってる訳だ。

本格的な撮影にはパノラマ用雲台、なぜかといえばレンズ主点を中心にカメラを動かす必要があるから、と理解した上で。気軽にパノラマするなら、クイックイッで充分だろ。

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