造形作家セバスティアン

ワシ、生まれは九州だが、気持ちは堺っ子だ。その堺市の中心は堺市堺区で、大雑把に言うと、西から順に、南海電鉄本線、南海電鉄高野(こうや)線、JR阪和線が南北に走っている。その南海本線堺駅の東広場に全高18 mの巨大なオブジェがある。これがね、美しくも力強く、そして品がある。抽象と具象の中間、いいバランス感覚だ。なんとも言えない。ワシは大層お気に入りだ。

作者はセバスティアン、1947年メキシコ生まれ、メキシコ造形作家協会会長も務めた大先生だ。火の鳥をモチーフとした、1994年のこの作品の制作費は一億円。高いと感じるか安いと感じるかは人それぞれだが、ワシ的には、ちょうど良い、と思う。

関東の人は堺なんて知らないかもだが、かつては「東洋のベニス」と呼ばれるほど栄えた都市で、幕府を尻目にブイブイ言わせた時代もあったとか、なかったとか。現在も日本各地に残る堺という地名は当時の豪商が投資をして開発した、商人が移住したことなどに縁起がある。その堺市は2006年に念願の政令指定都市となった。歴史もあり、それなりの所帯 (市予算数千億)を構えているのだから、駅前に一億円のオブジェがあってもいいじゃないか。二、三個あってもいいくらいだ。税金の無駄使いだと騒いでいたバカ市議も居るらしいが。税金以外でそんな酔狂なモン拵えるとなると、ちょっと難しい。お小遣いが七兆円のワシでも、ちょっとポケットマネーで、つう訳にはいかない。

事業仕分けだ、緊縮予算だとか、何かと世知辛いが、ケチケチするなよ。

セバスティアン作のオブジェが千鳥ヶ淵にもあった。一目で彼と解る作風だ。他の作品はPanoramioでも見ることが出来る。