ギリシャとキューブラー・ロス

Kübler-Ross model (キューブラー・ロスモデル)って知ってるだろうか。日本語の会話で、これについて直接言及することがあるとしたら、恐らく末期医療の分野くらいかもしれない。ま、でも外人さんはこれ好きなんだよね。素の日常会話にもチョイチョイ出てくる。

元々はその名のとおり、Elisabeth Kübler-Rossが1969年の著書「On Death and Dying」で発表したものだ。死を取り扱うのに際して、シンプルで分かりやすいだけでなく、宗教というインチキを絡めていないのも素晴らしい点だ。死を受け入れるまでの五段階(ステップ、フェーズ)の人間心理の状態を述して、次の様に定義している。

  1. Denial (否認)
  2. Anger (怒り)
  3. Bargaining (取引)
  4. Depression (抑鬱)
  5. Acceptance (受容)


字面だけだと分かりにくいかもだが、状況を想像すれば極々自然な人間心理だと分かるはずだ。このモデルは、死を受け入れる末期患者だけでなく、何か手に負えないものに直面した人間や、その集団などにもしばしば見て取られることから、広く受け入れられている。「今どのステージだい?」とか「おー、そいつは否認ってヤツかい?」という感じで使う。失業して肩を落としている友人に、「今どのステージだい?」とか。図星で何か痛い腹を探られて「違う、違う」と否定する相棒に、「そいつは"例の"否認ってヤツかい?」など。

経済的に末期の国家、今のギリシャとか少し前のイギリスなどでも、集団に上のフェーズを見て取れることがある。振り返って、現在の日本てどの辺だろう。